目的が謎に包まれる飛鳥の石造物
奈良の飛鳥エリアには、謎の石造物群が散在しています。
飛鳥旅行の楽しみのひとつに、ミステリアスな石造物巡りがあります。石舞台古墳をはじめ、マラ石、二面石、亀石、弥勒石、酒船石、亀形石造物、鬼の雪隠・俎古墳、 猿石etc. 実に多くの石造物が存在しています。
祝戸地区にある男根を模したマラ石と、橘寺の境内にある善悪二相の二面石。
マラ石と亀石の不思議
男女の象徴が相対するマラ石の風景
マラ石は国営飛鳥歴史公園の祝戸地区の近くに佇みます。高さ106㎝の立石です。
古代信仰によるものか、一種の標石なのかは謎に包まれたままです。このマラ石、元々は垂直に立っていたと伝えられています。徐々に傾いていったようですね。 飛鳥川をはさんで対岸の丘陵を「ふぐり山」と呼んでいます。フグリとは、キンタマや陰嚢を意味する言葉です。つまり、ふぐり山と対をなすマラ石という位置づけなの かもしれません。
二面石は聖徳太子生誕の地として知られる橘寺の境内にあります。
仏教を保護した聖徳太子ゆかりの地。橘寺のご本尊「聖徳太子坐像」が納められる太子堂の南側に二面石は佇みます。人の心の善と悪・・・それをも包み込む仏教の 広大無辺な慈愛の心が感じられます。
民家の近くに佇む亀石と、蘇我馬子の墓ではないかと伝えられる石舞台古墳。
西の当麻を意識しているかもしれない亀石の伝説
大和はその昔、陸ではなく湖だったようです。亀石のある川原と対岸の当麻との間に争いが起こりました。争いに負けた川原は湖の水を取られることになります。 その結果、湖に生息していた亀は死んでしまいました・・・不憫に思った村民が石を亀の形に削り、供養したのが亀石の由来となっています。元々は東を向いていた亀石が、 今現在は南西方向を向いています。西の当麻を睨むようになれば、この地は泥海の底に沈むと云われています。