山の辺の道ルートに佇む金屋の石仏
山の辺の道ルートの海柘榴市観音と平等寺の間ぐらいに金屋の石仏が佇みます。
幾度も金屋の石仏の前を通り掛かっていますが、収蔵庫の扉がたまに閉ざされていることもあり、 じっくりと中の様子を伺ったことがありませんでした。金屋の石仏は喜多美術館の真ん前に位置し、崇神天皇の皇居跡である磯城瑞籬宮もすぐ近くです。
金屋の石仏が安置される収蔵庫と、重要文化財に指定される2体の石仏。
石棺の蓋と思しき二枚の泥板岩に、向って左側に弥勒菩薩、右側には釈迦如来と推定される石仏が浮彫にされています。 金屋の石仏を位置的に考慮すれば、向って左側が北、右側が南に相当します。興福寺五重塔の初層内陣にも、北に弥勒三尊像、南に釈迦三尊像が安置されています。 仏像と方角の関係は興味深く、薬師如来は東で阿弥陀如来は西を表します。
釈迦如来と、金屋の石仏の格子戸。
見学無料の金屋の石仏
説法印を結ぶ金屋の石仏の釈迦如来
向って右側の、比較的表情もはっきり分かる釈迦如来が結んでいる印相(いんぞう)は説法印です。
まるで影絵を作るときの指の形を連想させますが、説法印は説法をするときの形を表します。指の曲げ方にも何種類かありますが、釈迦如来や阿弥陀如来に見られる 印相として知られます。一方の弥勒様は施無畏印と与願印を結んでおられます。金屋の石仏は格子戸越しに見学することができ、見学料は無料となっています。
昔は平等寺にあった金屋の石仏
金屋の石仏は明治初年の神仏分離により、同じく山の辺の道のルート上の平等寺から移設されています。いわゆる廃仏毀釈ですね。金屋の石仏から北へ徒歩数分で、 三輪山平等寺に辿り着きます。聖徳太子創建のお寺で、秀麗な二重塔が観光客の目を楽しませてくれます。